テクノロジーの恩恵を大いに受けている法律業界の話 (今のところ、弁護士ロボットに仕事を奪われていませんが・・・)
初めて触れるテクノロジーが仕事に導入されたときなど、変化にうまく対応できずにストレスを感じることもあるでしょう。しかし、裁判の進行や法的取引など、法律を取り巻く世界にテクノロジーが与えてきた影響は計り知れません。
25年以上の弁護士経験をもつMBA法律事務所パートナー弁護士のミッチェル・クラークですが、時に、こうした変化への対応がスムーズでないと揶揄されることもあります。しかし、それと同時に彼は、オーストラリアの法律業界における、テクノロジー導入の肯定的影響を目の当たりにしてきた本人でもあります。
「私が見習い弁護士だった頃、事務所でファクス使用が始まりました。当時のファクスはずいぶんと大きい機器でしたが、今日のスピード感のあるコミュニケーション法の先駆けがファクスだと思います。」とミッチェルは言っています。
テクノロジーは、弁護士とクライアントの間で交わすコミュニケーションをより早く、そして包括的レベルで向上させています。実際にミッチェルは、テクノロジーによって彼の仕事の生産性が上がったと感じているようです。
一昔前は、クライアントにレターを送付すると、それが届くまで数日間、そしてクライアントから返答をもらえるまでにさらに数日を要するので、一往復の通信に何日間も時には何週間もかかったものです。テクノロジーはまた、ミッチェルが仕事で関わる法律業界の人や組織(裁判所含む)とより効果的なコミュニケーションを図ることにも役立っています。
ミッチェルが弁護士になった頃は、開示書類の目録を作るだけでも相当な時間を費やしたものでした。今は、こうした作業の自動化が進んでいるので、労力はさほど必要としません。オーストラリアでは裁判に関する事務手続きもコンピューター化が進んでいて、書類の申請・登録は電子的に行われています。ミッチェルが携わっている案件でも、かなりの数の文書類が電子的に管理されています。
テクノロジーは、法律制度の中でさらに別のメリットも生み出しています。
「私は昨年、事故の被害者がQBE保険会社に対して起こした裁判(高等裁判所)の原告側弁護士として、5日間に渡って行われた審理に同席しました。審理では、私が手配したSkypeによる医療診断結果も考察対象となりました。ブリスべンの専門医が、重症を負って日本に帰国したクライアント(原告)をSkypeを使って診察したのが、Skype診断です。一昔前は、オンライン経由の医療診断などは不可能だったわけですが、昨年行われたこの裁判では、Skypeによる診断結果も強固な証拠の一つとなり、私のクライアントは、最終的に$3.7ミリオン以上の賠償金を受け取ることができたのです。」
ミッチェルは、MBA法律事務所ジャパンリーガルサービスのイノベーション委員長です。クライアント様により良いサービスを提供するため、発展し続けるテクノロジーを包括的に導入、効果的に利用していきたいと考えています。