CTP claims – 実例
そこで今回は、実際に自動車事故で怪我を負った方による賠償請求(CTP Claim)の例を紹介したいと思います。
Xさんは乗用車の助手席に乗車していましたが、車が停止した際、後方から来た車に追突されました。その結果、むち打ち症といくつかの軽症を負いました。さらには、事故で負った怪我のせいで精神的にも病み、仕事に復帰することができなくなってしまいました。 オーストラリアの賠償金制度では、事故による所得損失が非常に重視されます。Xさんのケースでは治療費はもちろんのこと、事故で負った怪我が将来の仕事能力にも悪影響を与えること(所得の低下を導く)、また、怪我の後遺症のため、今後も継続して日常生活で介助が必要なことなどが認められ、最終的にはCTP保険会社から$200,000を越す賠償金が支払われました。
軽傷だからといって放っておいたところ、半年~1年後に症状が悪化した!という話もよく耳にします。そうしたことから、事故で負った怪我がたとえ軽傷であったとしても、億劫と思わず、賠償請求について一度検討してみてはいかがでしょうか。
今回はもう一つ、最近のニュースにもなった、興味深い賠償請求の例を紹介しましょう。(首都キャンベラでの例ですので、QLD州の法律がそのまま適用されるわけではありません) 2008年のことですが、J氏 はフットボールの公式試合を見に行き、ハーフタイム中に行われたゲームに参加したところ、首の骨を折る大怪我を負い、その結果、タイル職人としての仕事に戻ることができなくなってしまいました。
J氏は賠償金としておよそ$500,000の支払いを受けましたが、4ヶ月でそのお金のほとんどを使い切ってしまったのです。J氏は賠償金を正しく使用せず、ぜいたく品の購入等に充てていました。 そうしたことから、CentrelinkはJ氏に年金の受給資格はないとし、また、少なくとも2017年までは、政府の福祉補助は不要であるとの判断を下しました。
J氏のように賠償金請求制度を悪用する人がまったくいないわけではありませんが、不運にも事故(※)で怪我を負ってしまった場合は(※ある人、ある組織などに事故発生の責任がありそうなとき)、まずは専門家に相談して、賠償請求手続きの実行を検討してみるのがよいでしょう。(軽症だからと思って放置せず、すぐに医師に診断してもらうこと、そして、法律で賠償請求を行える期限が設けられていることに注意してください。)